地球の引力で落下したりんごを射止める、けん玉。「水平線」という境界を描く鉛筆。そして、海を走る船の航跡が「ファスナー」に見えたことから着想を得た「ファスナーの船」など、鈴木康広は身近な素材や現象を独自の視点で捉え直し、テクノロジーを利用した映像インスタレーションからパラパラマンガまで、幅広い手法を用いて作品を制作してきました。
近年では、羽田空港を舞台にした大規模なパブリックアートのブロジェクトや、玩具や文房具などのプロダクト
デザインも手掛け、国内外で最も注目を集める若手アーティストの一人として活躍しています。
本展では「地球」、「まはたき」、「りんご」、「僕」という4つの創作の鍵を手がかりに、「BORDER(境界線)」を探る試みを展開します。
エントランスには反転する地図が登場し、展示室に歩みを進めると1Fと2Fの垣根を越えてりんごが落下。「まはたき証明写真」が設置された休憩スペースでは、来傷者は目を閉じた瞬間の証明写真を撮ることができます。
その他、昼の映像が夜の暗闇に浮かび上がる「遊具の透視法」など、代表作に新作約10点を加えた構成で、美術館
全体を様々な事象や出来事の「BORDER」と出会う、公園のような憩いの場に変容させますどこか既存の枠組にとらわれ、日々の小さな出来事を見過ごしている私たち。
鈴木康広の子どものような瑞々しい眼差しと世界の見方を揺さぶるような発見の数々は、気づくことの楽しさを伝えるでしょう。
今、自分の立っているこの場所が紛れもなく地球の一点であり、ここから宇宙や海、空につながるという壮大な視点と、「僕」という極めて個人的な眼差しが捉える日常の景色。これらの距離を自在に操り、鑑賞者をたぐり寄せる鈴木康広の世界。是非この機会にご覧ください。
関 連 事 業
1.ファスナーの船ー浜名湖を開く
瀬戸内国際芸術祭で話題を呼んだ作品「ファスナーの船」が浜名湖を運航中。舘山寺の展望台やロープウェー、観覧車から船が浜名湖を開く様子をご覧頂けます。
2.パラバラマンガ商店街
浜松駅と美術館を結ぶエリアに立ち並ぶ商店街の店内にパラパラマンガを展示。各店舗にちなんだ内容のパラパラマンガをお楽しみ頂けます。
3.家康公ワードウオッチング 鈴木康広「偶然のホトトギス」
市制100周年を記念し、今後100年の更なる浜松の発展に向けて、「徳川家康公の名言」をテーマにした作品を制作。
「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」の一句から着想を得た、巨大な空気の鳥が市役所内の吹き抜けに登場します。会期中には「ホトトギス」をキーワードに浜松の句を募集し、会場内のディスプレイで公開予定。
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